今にして思えばどうしてあんな残酷なことを…という子供の頃の経験がある人は多いだろう。かく言う私もその一人である
あれは小学校の夏休みで地元の田舎に帰省したときの話だ

あの頃は今よりも野良たぬきが多く、それこそその辺の草むらに石を投げれば草陰で涼んでいるたぬきに必ず当たるという程にたぬきがウジャウジャといた
しかしながら親たぬきがちゃんと匿っているのか、子たぬきは滅多に見かけなかった
だからあんなことをしてしまったのだろうか？
幼い私は偶然にも一匹でいる子たぬきを見つけたのだ。きっと親たぬきが運んでいる最中に落としたのであろう
初めてまともに子たぬきを見た私はひどく興奮し、すかさず子たぬきを手に取った
子たぬきは成たぬきと違い、ヒト語を話さずにｷｭｰｷｭｰと鳴いていた
きっと成たぬきであれば「触るな…」と言ってきて、それに素直に反応した幼い私は手を離しただろう
しかし、そうはならなかったのだ…

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小さな命を手にした私は「今ならこの子たぬきをどうとでもできる」という全能感と、幼さゆえの無垢な嗜虐心がふつふつと沸き起こっていた
掌の上の子たぬきは相変わらずｷｭｰｷｭｰと鳴きながらジタバタしている
私はとりあえず子たぬきのお腹を押してみた。するとｷｭｰｷｭｰという可愛らしい鳴き声は「ｷﾞ…ｷﾞｭｧｰ!」という可愛さの欠片も無い呻き声に変わった
面白く思った私は押す力を変えてみたり、髪の毛を引っ張ってみたり、デコピンのように指を弾いて叩いたりというような死なない程度のいじめで遊んでいた
子たぬきのモチモチとした感触と、何かするたびに汚らしい鳴き声をあげる様は子供を夢中にさせるのに充分であった
ところが、長く遊んでいると子たぬきの反応がそれほど変わらないので私は飽きてきてしまったのだ
けれども、せっかく珍しく子たぬきを見つけたのだ。野生に帰すのは勿体ない。しかし飼うのは面倒だし病気を持っていたら困る…

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そこで私は名案を思いついた。殺せばいいのだ！
殺せば野生に帰す必要は無いし、死んでいるから飼えない。なんて私は頭が良いんだ！
恐ろしいことに幼い私はそう考えたのだ
しかしそこは好奇心旺盛な子供。殺すのにもただ単に殺すのではなく「あれだけいじめてもモチモチしているせいで傷が全然つかなかったからせめて一矢報いてやろう」みたいなことを考えた
刃物なんてもちろん持っていなかったが、丁度いいことにその時の私は爪がかなり伸びていた
頭や腹は中身がぎっしりと詰まっていて爪が通りそうもないので、手足を切り落とすことにした。手足をちぎるなんて虫相手によくやっていることだ。何の抵抗感もない
流石に服は切れそうにもないので服を脱がせて、まず試しに両手をつかんで引っ張ってみた。モチモチしていてよく伸びるので少なくとも子供の力ではちぎれそうにない。想像していたよりもずっと伸びたのでしばらく遊んでいた。伸ばす際の鳴き声がドップラー効果のように高低が変わるので面白い
伸ばすのにも飽きた私は本題に移った。腕の付け根に爪を押し当てる。モチモチしてはいるが行けそうな感覚が確かに感じられた

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更に力を込める。瞬間、プツリという感触が伝わってきた。子たぬきの皮膚を突き破ったのだ
それからはもうあっという間の出来事だった。
腕を引っ張ってみると傷口がブチブチと広がっていき、ついに…というには些か短い時間だが子たぬきの腕をちぎることに成功したのだった
同じように他の手足もちぎったのだが、子たぬきはなんとまだ生きていたのだ！
ジタバタする手足は既に無く、息も絶え絶えだが確かにｷｭｰ…という鳴き声をあげている
後に引けなくなった私は子たぬきの首(のような部分)に爪を押し当てた。その時の悲鳴とすら言えないような、文字に表すことさえできない鳴き声は今も私の頭にこびりついている
そうして子たぬきだったモノを作り上げた私は何事もなかったかのように帰路に就いたのであった
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別エンド
子たぬきを解体し終えたとき、遠くから「ちびー！どこだしー！」という声が聞こえてきた。きっとこの子たぬきの親だろう
幼い私は親切心で子たぬきだったモノを親たぬきに差し出した
すると親たぬきは当たり前のことながら怒り狂って、私に殴りかかってきたのだが所詮はたぬきと言うべきかモチモチしているだけで全然痛くない
しかし攻撃されたこと自体は非常に癇に障る。ヒト語を操る生物をいじめることは普通であれば罪悪感があるが、相手が襲ってきたのなら因果応報だろう
つまるところ私は子たぬきにしたことを親たぬきにもすると決めたのだ
幸いにしてまだ日が暮れるにはたっぷりと時間がある。これだけ大きければ、子たぬきにやるとあっさり死にそうで出来なかったことも色々できるだろう
足元にやってくるモチモチとした感触を楽しみながら、これからどうしてやろうかと胸を躍らせるのであった…



